東京オリンピックが8月8日に無事閉会し、世間はお盆休みに入っており、東京の街も人通りがめっきり少なくなってきました。
開幕前は、本当にオリンピックが開催されるのか、こんな時期に開催しても良いのかなどの論争も有りましたが、開幕前に考えていた以上に盛り上がったので、今度はオリンピックロスを感じている人もいるようです。
今回の東京オリンピックに関しては、反対派のデモが期間中も行われていたように反対派の方も少なからず存在していますが、東京の夏の地獄のような暑さを除けば、海外の選手団や取材陣にもかなり評判は良かったようです。
特に、ボランティアの皆様方の対応や選手村の運営には、数多くのポジティブな意見がツイッターやインスタグラムなどのSNS上で発信されています。
その象徴となるような出来事があったので、こちらでご紹介します。
ジャマイカ選手を助けた日本のボランティア
ニュースでも報道されましたが、東京オリンピック陸上競技110メートル障害のジャマイカ選手が、金メダルを獲得した裏で起こった秘話を明かして話題になりました。
話はこうです。
話題の主は、ジャマイカの110メートル障害金メダリスト「ハンスル・パーチメント」選手です。
彼は、準決勝の当日8月4日、試合が行われる「国立競技場」へバスで向かっていました。
リラックスするためか、彼はバスの中で音楽を楽しんでいました。
ところが、彼の意に反して、バスは「国立競技場とは全く反対方向の「東京アクアティクスセンター」へ向かっていたのです。
そして、彼は音楽を聞いていたために、バスの案内などを全く聞いておらず、到着して初めて間違いに気づきました。
彼の準決勝の時間は、午前11時17分。
一旦選手村に戻り、再度競技場に向かおうと考えましたが、そうするとウオームアップをする時間は無いかもしれないということに気づきます。
これまでの苦労が水の泡になりかねない危機を救ったのが、ちょうどそこに居合わせた東京オリンピックのボランティアのスタッフです。
彼によると、彼女は見ず知らずの彼にタクシー代を貸してくれたそうです。
そのおかげで、彼は窮地を脱出することができ、無事に準決勝が行われる「国立競技場」へ着いたそうです。
そして、予定通りウォーミングアップも行うことが出来て、準決勝3組では2着になり決勝へ進みます。
さらに、翌日8月5日、決勝では見事に「13.04秒」という記録で金メダルを獲得したのです。
ボランティアのとっさの判断で、結果的に奇跡が起きたのです。
話には続きが…
「ハンスル・パーチメント(PARCHMENT Hansle)」選手は、8月8日にインスタグラムで動画を公開します。
そこでは、彼に起きた事の一部始終を説明しています。
彼を助けたボランティアの名前は「ティアナ」という名前だそうです。
そして彼は「彼女を探しに行き、見つけて獲得した金メダルを見せるつもりだ。」と述べています。
彼女を探し当てた彼は、後ろから「ティアナ」と彼女の名前を呼びます。
振り向いた彼女に、「俺の事を覚えている?」と聞きます。
そして、「お金を返却するよ。君に見せたいものがある。」と言うと、取り出したのは彼が取った金メダルでした。
「あなたの助けで、僕は決勝に進むことが出来たんだ。」と言いつつ金メダルを見せると、ティアナさんは驚きます。
そして彼は、「サイズが合えば良いんだけど」と言いながら、用意していたナイキの黄色いポロシャツを渡し、お金(多分100ドル?)を返します。
彼女は、写真を撮っていいかと聞き、2人が一緒に写真を撮ったポーズで動画は終わります。
彼が呼びかけるのは、動画の2:30秒あたりからです。
話にはまだまだ続きが…
パーチメント選手が一部始終を撮ってインスタグラムにアップした動画は、ものすごい反響を呼び、イギリスの「ガーディアン」紙などでも取り上げられました。

すると、この騒ぎにジャマイカの「アンドリュー・ホルネス首相」が反応したのです。
首相は、ツイッターで「全てのジャマイカ人は、この出来事への感謝が必須である。」と述べています。
話は、それだけでは終わりません。
今度は、ジャマイカの「エドモンド・バートレット観光相」が、この騒動に反応します。
彼は、「私の国のオリンピアンを助けてくれたこの良きサマリア人を、公式にジャマイカへ招待します。」
「彼女は、金メダリストのパーチメント選手が歴史的な走りを見せてくれたことに対して、大きな役割を果たしてくれました。」
とツイートしています。
彼女の無垢の親切心が、オリンピック金メダリスト誕生という大きな結果を生んだということですね…
まとめ
エドモンド・バートレット観光相のツイートに、彼女の名前が「Trijana Stojkovic」と書かれています。
「Trijana」をティアナと読むのか愛称なのかはわかりません。
動画の中で、彼女は関西弁らしき日本語を話しており、日本人とのハーフなのか、日本で働いている外国人なのかどうかもわかりません。
ネット上では、日本人とセルビア人のハーフという情報もありますが、それも定かではありません。
さらに、彼女が着ていたジャケットには「近畿日本ツーリスト」の文字がデカデカとあったので、そこの関係者かもしれませんが、それもよくわかっておりません。
確実なのは、困っていたジャマイカの選手を、オリンピックのボランティアが助けて、その結果金メダルを取ることが出来たという「奇跡」のような素晴らしい物語です。
追記情報
彼女のインスタがありました。
また、ハフポストに新しい情報がありました。
「ティアナ」さんではなくて「ティヤナ」さんだそうです。
日本とセルビアにルーツがあるということなので、ハーフではないでしょうか?
そして、「近畿日本ツーリスト」の社員ではなく、大会関係者のバス輸送を担当する近畿日本ツーリストの委託業者のスタッフで、ボランティアでもなかったようです。
タクシーは組織委員会と話をして手配をしたみたいですけど、お金は持っていないと言われたので、誰にも言わず自分が持っていた1万円をこっそり渡したそうです。
人生をかけて日本に来たはずなのに、試合に出れなくて一生後悔させてしまうかもしれないと思って、独断で手に隠しながらこっそりお金を渡したとのことです。
素晴らしい!
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