2020年2月1日の「共同通信」のニュースで、「皇位継承策の見送り論が浮上 政府、女性宮家は必要と言及も」という記事が目に入りました。
その中で、「男系維持と女性・女系天皇~」という文章がありますが、そう言えばこの「女性・女系天皇」の文字をあちこちのニュースで目にしますが、「女性天皇と女系天皇の違いを分かる人は多いのかな~」とふと疑問に思ったので、こちらで説明しようと思います。
「同じ意味じゃないの?」と思っている方も、多いのではないでしょうか?
私自身も、以前は「違いと言われても、何が違っているのか、よくわからない」という感じでした。
と言うよりも、「そこまで深く考えてなかった…」というのが本音です。
目次
女性天皇と女系天皇の違いを理解しているかどうかの調査
2019年5月13日のニュースに、「産経・FNN合同世論調査」の結果が載っていました。
その中に、自民党支持層に対して「女性天皇と女系天皇の違いを理解しているかどうか」とい調査結果があり、下記のような結果が出たそうです。
質問 調査結果% よく理解している 12.4% ある程度理解している 35.3% あまり理解していない 32.2% 全く理解していない 15.7% その他 4.3% 出典元:産経・FNN合同世論調査
その他を加えると、実に52.2%の方が、「あまり理解していない/全く理解していない」という答えになっています。
そもそも、理解しているか?理解していないか?という設問に対して、「その他」と答える人の真意がよくわからないのですが…
個人的には、もっとわからない人が多いと思っていたので、少し新鮮な驚きでした。
実は、この「女性天皇と女系天皇」は、全く違う言葉なのです。
磯野家の家系図で解説した女性天皇と女系天皇の違い
以前、ツイッターで少し話題になった「ツイート」があります。
それは、「女性天皇と女系天皇の違い」を、「磯野家の家系図」で説明したツイートで、これが非常にわかりやすいのです。
#女系天皇
今こういう議論が起きてるってのは、ある意味幸運で、もしも万が一、今後民主党系が与党になった場合、女系容認!女系容認!とマスコミと一緒に騒ぎ立て実際に容認される可能性すらあるのでは。
だから今のうちからひつこい程に「女性・女系」の違いを叫んでおく必要がある。 pic.twitter.com/X0dyPdfJuV— Master Zen (@MasterZen18) November 24, 2019
「磯野波平」と「磯のふね」を天皇・皇后両陛下だとすると、子供のサザエ・かつお・わかめの3人は、それぞれ「男系」の家系になります。
仮に、サザエさんが天皇に即位した場合、「男系の女性天皇」ということになります。
また、磯野家の3兄弟ともに亡くなられ、次の天皇は誰?という状況で、「磯野波平」直系の子供が「タラちゃん」だけだったとします。
そこで、直系なので、すんなり天皇になれるのかどうかと言うと、タラちゃんは女性の「サザエ」の子供なので、「女系」の「男性天皇」という立場になります。
そして、タラちゃんは「磯野波平」天皇の血筋ではなく、父親である「フグ田マスオ」家の血筋となります。
仮に継承者がタラちゃんしかいなかった場合、現行の「皇室典範」を忠実に守れば、タラちゃんは天皇には即位できないため、これまで長い間続いていた天皇の血筋は途絶えるということになります。
女性天皇と女系天皇の違いをもう少し簡単に
「磯野家の家系図」を例えて説明しても、少しわからない人がいるかも知れません。
もう少し簡単に言うと
「私は女性だが、父親が天皇」=女性天皇
「私の母親の親族は天皇・皇后両陛下だが、父親は違う一族」=女系天皇
現行の「皇室典範」では、天皇の継承者は男系・男子なので、「徳仁天皇陛下」のお子様の「愛子さま」が天皇になることはありません。
仮に、「愛子さま」が天皇になった場合、「女性天皇」になります。
そして、もし「愛子さま」が子供を授かった場合、そのお子様が男子でも女子でも「女系天皇」ということになります。
現行の「徳仁天皇陛下」は、初代天皇である「神武天皇」から数えて、第126代天皇になります。
これまで126代続いてきた天皇家に、女系天皇は一人もいなかったのです。
126代続いてきた天皇家とは違う他の一族が、天皇家に加わったことは、これまで一度もないのです。
この長い歴史というのが、大きな議論の中心にあるわけです。
ではなぜ女性・女系天皇の問題が議論されている?
女性天皇と女系天皇の違いは、上記にある通り明らかな違いがあります。
ではなぜ、最近「女性・女系天皇の問題」が盛んに議論されているのでしょうか?
まず現行の皇位継承順位(2020年1月1日現在)はどうなっているかというと、下記の通りになります。
順位 | 皇位継承資格者 | 年齢 | 今上天皇から見た続柄 |
---|---|---|---|
1位 | 秋篠宮文仁親王 | 54歳 | 弟/上皇明仁第2皇男子 |
2位 | 悠仁親王 | 13歳 | 甥/秋篠宮文仁親王第1男子 |
3位 | 常陸宮正仁親王 | 84歳 | 叔父/昭和天皇第2皇男子 |
「徳仁天皇陛下」には、男児がいらっしゃらないので、現状皇太子が不在ということになります。
また、現行の皇位継承者は、上記の3人ということになり、秋篠宮文仁親王は「徳仁天皇陛下」と5歳しか違いがありません。
そして、第3位の常陸宮正仁親王は、84歳という高齢です。
「悠仁親王」は、他のお二人に比べると13歳という若い年齢なので、将来的には「天皇」になられる可能性が大きいのですが、仮に「悠仁親王」に男児のお子様が生まれなかった場合、皇位継承者が誰もいなくなることになります。
そういうこともあり、「女性・女系天皇」そして「女性宮家」の問題に対して、「賛成!、いや絶対反対!」などと、盛んに議論されているわけです。
実は、小泉純一郎内閣が設置した有識者会議が、2005年に女性天皇と女系天皇を容認する報告書をまとめています。
そして、皇室典範改正案も準備されましたが、翌年に悠仁親王が誕生したため、国会提出は見送られたという経緯があります。
まとめ
女性天皇と女系天皇には、明らかな違いがあるということ、おわかりになったでしょうか?
男系継承を無視して、簡単に説明すると、
「私は女性だが、父親が天皇」=女性天皇
「私の母親の親族は天皇・皇后両陛下だが、父親は違う一族」=女系天皇
現行の「皇室典範」では、『皇位継承資格を「皇統に属する男系の男子」 に限定する』となっているため、女性天皇と女系天皇も認められてはいない、ということになります
。